新しい発想でノイズレスと表現力を両立した革新的なピックアップを紹介するよ!
“シングルコイル型のピックアップはどうしてもノイズが付き物” …というのも今は昔。現在では見た目はシングルコイル型でも、カバー内部はコイルを縦に積み上げたスタック構造によりノイズレスを達成したものも広く使用されるようになってきましたね。
そんな中、今回紹介するピックアップ “Zexcoil (ゼックスコイル)”は、スタック構造を含めた従来のピックアップ構造とは異なる発想にてノイズレスを達成。また、数々の研究の末に様々なトーンコントロールを達成しています。
Zexcoil PickupはメーカーHPよりオンライン購入するシステムを取ってる事もあり、日本ではまだまだ知られていない存在。今回は、この革新的なピックアップを日本国内でも認知してもらい、私と一緒に購入してくれる方を募ろうかと思ってます (笑)。
Zexcoil Pickupを知ってほしい!
開発者Scott Lawing氏の紹介
Zexcoil Pickupを開発したScott Lawing氏は、世界でも最高峰のMIT (マサチューセッツ工科大学) の博士課程を修了。その後、半導体関連企業の研究開発職として従事。数々の開発に携わり、成果を上げてきたようです (ちなみに、現在も半導体業界に従事されています)。その傍ら、音楽活動を行っており、その優れた知識・技術を活かす形で革新的なピックアップ “Zexcoil Pickup” を開発。その革新的なピックアップはアメリカ国内でも注目され、大物アーティストやメーカーが採用しています。
ちなみに、2013年当時、私はScott氏と同業の分野で働いており、共通の知り合いを通じて、Scott氏を紹介してもらいました。
Zexcoil Pickupの特徴
従来のピックアップの構造は、一つのコイルがすべての弦をカバーする構造になっています。一方で、Zexcoil Pickupはそれぞれの弦に対して、独立したコイルが一つずつ配されていることが最大の特徴です。
6つの独立したコイルは、高音弦側 (1-3弦)、低音側 (4-6弦) のコイルの巻き方向、磁極の向きが逆に設計されており、その結果ハムバッカーと同様の原理でノイズを打ち消し合うことが可能となっています。
また、従来はポールピースは円柱状であり、弦間に合わせてポールピースが弦の真下になるように設計されています。ただし、演奏時にベンディング、チョーキング等を行うと、当然ながら弦はポールピースから遠のくため、音質も若干変化します。
一方、Zexcoil Pickupはプレート状のポールピースにコイルが巻かれた構造になっており、このポールピースの長さを活かし、弦の真下だけでなく、弦と弦の間のスペースもカバーした設計になっています。この構造は演奏時のベンディング、チョーキング時に弦の位置が動いた際でも、均一に音を拾い、プレイのニュアンスもしっかり表現してくれるという訳です。
→ コイルの磁極の向きを変えることでノイズキャンセリングを行う設計
② 楕円型のコイルが弦間を広くカバー
→ チョーキング時に弦が移動しても、トーンを変えることなく音をしっかり拾える設計
Zexcoil Pickupの種類
Zexcoilの種類は大きく分けて、以下の3つです。
Scott氏が最初にリリースしたオリジナルモデルであり、プレート状のポールピースがピックアップ上面にもそのまま現れた独特なルックスも大きな特徴となっています。構造上の最も大きな違いは、ピックアップ底面のマグネットの構造であり、このLEGACY SERIESでは2つのマグネットで構成されていうます (それぞれ1-3弦、4-6弦を担当)。
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目安価格:130-140 ドル/個
今後より広く製品展開していくにあたり、よりコストパフォーマンスに優れ、かつサウンドクオリティの維持・向上を目指した新製品。従来のピックアップカバーからデザインが一新され、ポールピースは隠れた状態で、カバー表面にはトレードマークであるZの文字が浮かび上がるデザインとなっています。構造上の大きな変更点はマグネットの構造であり、6つのコイルに対して、独立したマグネット (つまり6個) で構成されています。このマグネットの構造変化により、より原音に忠実で、素早いレスポンスを実現できたと説明されています。ちなみに、価格は従来のLEGACY SERIES対比で20%程安価になりました。
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目安価格:90-106 ドル/個
基本設計はZ-SERIESそのままですが、代表的なグレードに絞り、アメリカ国内のOEM先 (委託製造工場) にて量産したモデル。細かな設計の指定はできないものの、Z-SERIESのクオリティはそのままに、さらに安価で手に入れることができます。
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目安価格:80 ドル/個
独自のトーン・チューニング・システム
Scott氏はオリジナリティ溢れるピックアップ設計に加えて、繊細かつ忠実なトーン・コントロールを目指し、種々研究を行った結果、サウンド面において、ポールピースとコイルの巻き数が大きく影響することを見出しました。これらは、他のメーカーでも把握している、業界では常識ともいえる事実でもあります。
■ コイルの巻き数 → ピックアップの出力を制御
Scott氏がすごいのは、ポールピースの材質を変更した際のサウンドを細かく分析し、それらのデータをライブラリー化しているところ。これまで定番とされてきたピックアップの特徴も正確に把握した上で、我々ユーザーが求めるサウンドに対するベストな提案をしてくれます。
そのデータ分析の一例が、ご本人のYouTube動画でも紹介されています。
また、アンケート形式で自分の求めるサウンドについて答えるだけで、オススメのピックアップを提案してくれるZexcoil Pickup Slection Wizard (URL:https://lawingmusicalproducts.com/zexcoil-wizard) というサービスがあります (英語のみですが、簡単な内容です)。試しにやってみてくださいね♪
ピックアップセットもオススメ
ピックアップを選ぶためのサウンド・ライブラリーや、上記のアンケート型のサポートもありますが、豊富なピックアップの中からベストな組み合わせを選ぶのもなかなか難しいですよね。そういった場合、メーカーがおすすめするピックアップの組み合わせも提案されているので、是非HPをチェックしてみてください。
中には、ピックガードにアッセンブルされたセットもあり、そのまま自分のギターの載せられる製品もあり、はんだ等が苦手な人にもうれしいサービスですよね。このセットでは配線やポットもメーカー推奨品がチョイスされているので、Scott氏が目指すサウンドを体験したい方にもオススメできます。
Zexcoil注目の製品 (番外編)
ハムバッカーサイズのピックアップ
この記事ではシングルコイル型のZexcoilピックアップを紹介してきました。メーカーとしても、ハムバッカー型の2つのコイル設計に頼らずとも、ノイズキャンセリングできる革新的な構造を売りにしていることもあり、これまでの製品ラインナップはすべてシングルコイル型のものでした。
しかしながら2020年、ついにハムバッカーサイズの新作 Dual Core “The TriBucker” がリリースされ、注目を集めています。この製品については、十分な情報が公開されていない事もあり、また別の機会に紹介したいと思いますが、我々も是非注目したいところですね!
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その後、TriBuckerを入手、レビューもしているので、以下リンク先をご参照ください。
https://soundville.net/2020/10/09/zexcoil_tribucker/
ベース用ピックアップ
上記で紹介したLEGACY SERIESにのみ、ベース用ピックアップもラインナップされており、各弦に対して2つのコイルが割り当てられている、何ともリッチなデザインとなっています。各弦2つのコイルがノイズレスかつパワフルなサウンドを作り出してくれるとのことで、ギタリストのみならずベーシストにとっても、今後注目のピックアップメーカーであることは間違いありません。
ブログ主の野望
日本国内にもZexcoilが少ないながらも存在しますが、私も近い将来購入を考えています。これを機に私とともに人柱になってくれる方を緩く募集します。また、Zexcoilを載せるための安くてパフォーマンスに優れるストラトキャスター (モデル) も探しています。