ヴァイオリンの銘器 “ストラディヴァリウス”から考える『ギターの真価』

ストラディヴァリウスから考えるギターの真価 雑記
こんな感じの内容です!

ヴァイオリンの銘器が持つ魅力を、ギターに当てはめて考えてみた!!

楽器の世界には『銘器』と呼ばれるモノが存在し、プロアマ問わず心惹かれ、憧れるものです。
特に歴史の長いヴァイオリンにおいては、ストラディヴァリ関連をはじめ、億を超える作品が多数存在します。今回は最近読んだ書籍をオススメすると共にギターとの違いについて考えてみたいと思います。

今回オススメする書籍

今回紹介する書籍は『修復家だけが知るストラディヴァリウスの真価』です。長きヴァイオリン製作・修復に携わってきた中澤宗幸氏が著者であり、製作者の視点や銘器の演奏に立ち会い、そのサウンドに生で触れてきた立場だからこそ述べられる、非常に奥深い内容です。

ストラディヴァリウス

以下、Amazon商品ページ (https://amzn.asia/d/0pXb5Ta) より抜粋から引用した商品紹介文です。

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知れば知るほど奥深い。
300年の時を超えて、名器として生き続けることができたのはなぜか?
修復の世界的権威が、ストラディヴァリウスの謎を解き明かす。

なぜストラディヴァリウスは300年もの間、
ヴァイオリンの最高傑作として受け継がれてきたのか。製作者アントニオ・ストラディヴァリとはどんな人物だったのか。なぜ、ストラディヴァリウスはこれほどまでに高額で売買されるのか。他の幾千というヴァイオリンと、どこが違うのか。科学や技術が発達した現在においても、なぜ18世紀につくられた楽器を超えることができないのか。多くの人を魅了してやまない至高の楽器・ストラディヴァリウスの謎を、修復のプロが解き明かす。内容(「BOOK」データベースより)
300年の時を超えて、名器として生き続けることができたのはなぜか?修復の世界的権威が、ストラディヴァリウスの謎を解き明かす。著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
中澤宗幸: 兵庫県生まれ。幼少より父親からヴァイオリン作りの手ほどきを受ける。ヨーロッパにて、弦楽器製作と修復技術を学び、歴史ある楽器商や名工、音楽家との交流を深めて多くの名器にふれる。1980年、東京にアトリエを開き、楽器製作や指導を行いながら、国内外の演奏家の楽器のメンテナンスに専心する。2004年、カンヌ国際芸術祭(日仏現代芸術祭)弦楽器の部にヴァイオリンを出品し、コートダジュール国際芸術賞受賞。ディーリングも含め、今まで手にしたオールドヴァイオリンは3万挺以上、ストラディヴァリウスは60挺以上(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)——————————————-

書籍のオススメポイント

構成として、様々な観点からヴァイオリンが語られています。
■ヴァイオリンの起源
■伝説的製作家と銘器の誕生
■銘器に関わる、様々なストーリー
■魅了された演奏家・収集家のエピソード
■銘器が生み出すサウンドや構造的特徴
■楽器鑑定や、見極め方法
私自身、ヴァイオリンを嗜む訳ではありませんが、ミステリー仕立てのストーリーと、銘器に魅了された人々の人間模様は興味深く、読み物としても楽しく読む事が出来ました。
中には正月の定番番組の銘器の音を聴き分けるコーナーに関する話など、興味のある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか??

ギターに関連しそうな話

面白いエピソードはいくつもありましたが、ギターにも共通しそうな話をいくつかピックアップしてみました。

■ストラディヴァリ作品の材選定

ストラトヴァリの作品に使われるスプルース(表板)は、密度が均一で木目の幅の違いも殆どない事が特徴 (当時のヨーロッパの気候が関連しているとの事)。アコースティックギターの表板に使われるスプルース材にも共通しそうですね♪

■楽器そのものが持つ表現力

良い楽器とは、『この曲にはこんな音も合うよ!こんな解釈もあるよ!こんな表現はどう?』と弾き手に語りかけてくる、表現力やサウンドバリエーションがあるとの事。これはプロアマ問わず良い楽器に触れる事の意義でもあり、楽器と共に演奏者が成長出来るという楽器の楽しさも表しているように思えます。

■楽器のポテンシャルを引き出すための期間

銘器と呼ばれるストラディヴァリの作品、そのポテンシャルを引出すにはプロであっても半年から一年を要すとの事。我々一般人が楽器のポテンシャルを発揮するには一年以上かかるでしょうし、ポンポン新しいギター買ってる場合じゃありませんね笑

ギターとバイオリンの違い

バイオリン、特に今も愛される銘器は頑丈かつメンテナンスも出来る作りになっている事が特徴です。一方でギター、特にクラシックギターはヴァイオリンほどの耐久性は無く、ネックの反りや財の剥がれ等のトラブルで使えなくなるケースも多いため、歴史的銘器が生まれにくい…という背景があるのではないかと思います。
しかし、エレキギターは箱物ギターに比べて作りが丈夫。且つ、ボルトオンでネックが取り付けられているギターはメンテナンスもしやすく楽器のポテンシャルも維持しやすい作りになっています。
そういった観点ではストラトキャスター等のエレキギターは銘器として、今後も愛されるポテンシャルがありますね♪将来、ヴィンテージストラトが億を超える時代が来るかも??

ヴァイオリンの銘器に魅了された人々

ヴァイオリンの演奏家、銘器を生み出した製作家、楽器に魅了されたコレクター。ヴァイオリンの世界にも流行り廃りがあったらしく、銘器が貴族のコレクションになった時代から、安く買い叩かれていた時代まで、様々な歴史を辿ったようです。
そんな中、いつの時代にもコレクターは存在したらしく、流行り廃りに関わらず銘器をコレクションしまくっていた猛者がいた…というのも面白い事実。
ヴァイオリンの世界にも贋作は多数存在するらしく、銘器のラベルを安物のヴァイオリンに貼り替えて転売していたコレクターもいたとの事から、もはや本物を見極めるのも難しいそうです…。本物を見極めるには経験と勘(笑)がモノを言う世界。周りの評判によらず、優れた楽器を見極める目と耳を磨きたいものですね。

最後に…

長々と語ってしまいましたが、楽器は人に寄り添うモノという事もあり、様々なストーリーを生み出してくれる素晴らしい作品です。歴史ある銘器に触れる…そういった経験を通じて得るものもありそうなので、機会があれば触れてみたいものですね♪
書籍には、この記事では伝え切れない面白い話が多数記されているので、是非手に取ってみてくださいね。

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